家にいないstay-at-home wife/momについて
現在の私の職業は、というと「主婦」それも「専業主婦」である。
主人の海外転勤に伴ってだが、帯同を決めたのは自分なので自分の意思で専業主婦をやっているとも言えるし、働きたい意思はあるので意に反して専業主婦をやっているとも言える、そんな主婦だ。
英語ではstay-at-home wife(子持ちなのでstay-at-home mom)などという。
ところがこのstay-at-home mom、しょっちゅうどこかに出かけている。しかも多くの場合子どもと一緒に。買い物しか外に出ていない…という日は殆どない。
ボランティアで数々の組織の仕事をしたり、その関係で人に会って喋ったり打ち合わせしたり、プレイグループなどで子どもを遊ばせたり、友達と会ったり、自分の勉強をしに行ったり、歌ったり人前で演奏したり、などなど。
うーん、どこが"stay-at-home"なんだろう。
私の日々で大きな比重を占めているのが数々のボランティア活動。
日本にいたときは、ボランティアというと災害時の援助とか、イベントのスタッフといった単発のものの印象が強かったけど、ここバンコクで携わっているのはボランティアによって成り立っている組織でのレギュラー(?)ボランティア。大まかに言うとコミュニティーの利益のための自助組織の運営。
「専業」主婦/主夫というと家の仕事だけに従事しているという印象があるし、"stay-at-home" wife/husbandというと文字通りずっと家にいる印象。
駐在妻という立場上、身の周りには専業主婦が多いけど、皆それぞれにボランティア活動をしたり、自分の専門や趣味を周囲の人に還元する活動をしたり、子どもが幼稚園・小学校に行っている人はそこの保護者会の仕事をしたり、とにかく活動的。
多くの人は、だいたいどこかに出かけている(笑)。
だから決して社会とのつながりを断たれているわけではないし、専業主婦のこうした活動によって助けられている人が大勢いる。
だから専業主婦だの、stay-at-home wife/momだのといった言葉でくくるのでもなく、対価が発生する仕事をしているかで区別するのでもなく、もっと社会的な価値を生む存在として認識してほしいと思っている。
価値はお金ではないと思う。ただし、人によるけれど専業主婦自身が、自らお金を稼いでいないことで引け目を感じてしまうことはある。(専業主夫の方とは今のところ面識がないので、ひとまず女性に限っています)そこは私たち自身の意識を変えないといけないし、もっと広い意味で捉えると、「お金」に至上の価値を置いてきた社会の構造・意識そのものを変革していく必要があるだろう。
既存の「お金」の概念を解体しようという動きはあるし、お金にとらわれない若者も増えているし、社会の変化は少しずつ起こっているはず。それに対して専業主婦は何ができるか、今日も思案している。