コミコミ!日記

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海外駐在という制度を現代の価値観に合わせていく必要がある

タイの日本語フリーペーパー「DACO」が日本に帰国した元駐在妻20人にアンケートをとったところ、現在正社員として働いている人はいないとのこと。

 

確かに、過去に仕事を辞めて海外に行った、いつまた旦那が海外駐在になるかわからない、という人を正社員として積極的に雇おうという企業はそうそうないでしょうね。

正社員として働くことが厳しいのがわかっているから、在タイ中に手に職をつけようという人が多いのもわかります。

 

ちなみに、在宅勤務ができる企業なら仕事を辞めずに帯同できるというわけでもないんですね。

基本的には、被扶養者でないと家族ビザがおりませんから。

「配偶者転勤休職制度」がある会社もありますが、まだまだ少数派かと思います。

 

企業で正社員として働く道はほぼ残されていない。

それだけのリスクを伴ってでも、家族と一緒にいるために仕事を辞めているのです。

いわば、「家族か仕事か」という究極の選択を迫られる。

小さい子供がいる場合、「仕事を辞めるか働きながらワンオペ育児するか」という拷問にも近い選択を迫られるわけです…。

 

そもそも、働き盛り世代の海外駐在と家族の帯同というシステムは、夫婦の一方がばりばり働いて(実際に仕事がより大変になるケースが多い)、もう一方は専業主婦/主夫としてそれを支える、という昔ながらの家族のありかたに基づいたものです。

 

はっきり言うと、夫婦共働きが格段に増えた今の実情に合っていないのです。

 

私個人としては、会社にとらわれない働き方を模索するきっかけになるとポジティブにとらえていますが、その会社でどうしてもやりたい仕事があったのにパートナーの会社の都合で辞めなければならない場合の葛藤はいかばかりかと思います。

 

海外駐在という制度を現代の価値観や実情に合わせていくには、まずは先述の「配偶者転勤休職制度」を充足させていかなければなりません。

 

もっと広く考えて、会社が個人の人生を左右する世の中に疑問を呈するならば、会社が従業員の勤務地を決めること自体、「本当に必要なのか?」と考えるべきではないかと思っています。

正社員が経験を積むためにあちこち転勤する、というのが単に昔からの慣行として行われている場合、一度その必要性を見直して、個人と会社のかかわり方を考え直す必要があるのではないでしょうか。

転勤やジョブローテーションを否定するのではありません。ただ慣習として何となく、ではなく、世の中の流れを見据えたうえで必要性を見直し、きちんとしたポリシーのもとに行ってほしいのです。

 

また、一般的にパートナーの海外駐在に帯同、というと「勝ち組」「会社のお金で海外で優雅な生活ができていいわねー」という印象がまだあるため、このことが問題として認識されにくいのかもしれません。

産休・育休の充実に比べると優先順位が下がってしまうのもわかります。

ただ、本当に「働きやすい会社」を作るうえで、突如正社員としてのキャリアパスを断たれる人がいる、ということを忘れないでいただきたい、と思っています。