嗚呼美談
夏の甲子園に関して、様々な意見が飛び交っております。
猛暑の中過密な日程を強行することへの批判。
躍進を遂げた金足農業高校特集、等々。
違和感を感じたのは、優勝したのは大阪桐蔭なのに、テレビを見ている限りでは金足農業関連の報道ばかり。地元の盛り上がりの様子とか。
あくまで高校の部活動だから、学校によって選手の層の厚さに差が出るのは仕方がない。
制約がある中で頑張って、決勝まで進んだ努力はすごいと思う。
だけど史上初の2連覇を遂げた大阪桐蔭だって十分すごいことを成し遂げたし、普通じゃない努力をしたはずのに…。
ふと、「ああ、日本人はやっぱり我慢と自己犠牲による美談が好きなんだな」と思った。古くは「おしん」のようなドラマに見られるし、良い妻・良い母=ある種の自己犠牲の上に献身的に尽くすというイメージが残っていたり。少し飛躍するけど太平洋戦争の特攻隊にも通じるものがあるかもしれない。
逆境の中で頑張るのは、個人レベルの話では素晴らしいと思う。ただそれはあくまで「その人がそうしたいから」やっている話であってほしい。他人または高次の組織から強要されてはならないし、美談として取り上げて、必要以上に賞賛を煽ってもならない。
個人に対する不必要なプレッシャーは避けるべき(特にスポーツではある程度は仕方ないことは理解しますが)。日常のレベルでも、プレッシャーから心身のバランスを崩すことがあるのだから。
プレッシャーをかけている存在、自分にかかっているプレッシャーの有無について一人一人がより意識的になり、できるところから状況を改善する。
そうすることで一人一人が精神的に楽になり、自律してのびのび力を発揮できるようになることを願っています。